サロンに2度目のご来店をされたKさん。 胸がいっぱいになるようなお話を聞かせてくださいました。
学生時代のご友人が、先週お亡くなりになったそうです。 そのご友人は長い間病と向き合いながら、精一杯生きてこられました。
亡くなる前日、Kさんは別のご友人と二人で病院へお見舞いに。
ベッドで休むご友人に、周りの方々は「頑張れ、頑張れ」と声をかけていたそうです。
でもKさんは、心の中でこう声をかけていたそうです。 「今までよく頑張ったね。これからはゆっくり休んでね。」
そう思いながら、ご友人のそばにそっと座ったKさん。
言葉をかけることはできなかったけれど、気づけば自然と手が伸び、ご友人の頭を優しく撫でていたそうです。
すると、目を閉じていたご友人の頬を、ひと筋の涙が流れたそうです。
子どものころ、お母さんやお父さんに頭を撫でてもらった時の、あたたかくて、安心するあの感覚。
それと同じように、ご友人にも「もう頑張らなくていいよ」「お疲れさま」と伝わったのかもしれません。
そしてKさんは、ふと思ったそうです。 「もしかしたら、先月こちらでヘッドスパを受けたときの感覚が、私の中に残っていたのかもしれません。 あのとき、頭を優しく触れられて、なんとも言えない安心感に包まれたから。 だから私も、大切な友人に同じことをしてあげたくなったのかもしれません。」
その言葉を聞いたとき、私は胸がいっぱいになりました。
私の手が、Kさんの手を通じて、大切な人へと繋がっていく。 サロンの中だけでなく、その先にいる誰かへも、やさしい想いがつながっていくのだと。
頭は、人の身体の中でもとても繊細で大切な場所。
そこに触れることは、お客さまの身体だけでなく、心に寄り添うことでもあります。
私たちヘッドスパニストは、
ただ気持ちよさを提供するだけではなく、お客さまの心にそっと手を添えられる、そんな役目を担っているのかもしれません。
Kさんのお話を聞きながら、改めてそう感じました。
この手から伝わるものを、これからも大切に届けていきたいと思います。